No.290『正しい選択をする』

たかたまさひろの本 累計29万部

リラックスブック

こころのおそうじ

こころが休まる本

私たちは日々、何かを選択しながら生きています。
「どの店で買うか」という簡単なものから、「どの会社に就職するか」「この人と結婚するか、それとも別れるか」という重大なものまで、生きることは選択の連続だと言ってもよいでしょう。

選択に絶対正しい答えというものはありません。
あえて言うなら、「自分が納得して選ぶ」ことが正しい選択です。
他人から見れば成功したように見える選択でも、本人が「別の道を選べばよかった」と後悔しているなら、それは正しい選択をしたとは言えないのです。
幸せとは、客観的に恵まれた状態にあることではなく、「自分が納得して選んだ道を歩んでいる」ことを言うのです。

とは言っても、「どちらを選んでも不満が残る」という選択に迫られることもあります。
恋人に文句を言いたいが、嫌われるのが怖い。
他人に頼みごとをされると、嫌でも断れず、いい顔をしてしまう。
好きではない友達の誘いを断りたいが、相手を傷つけたくはない。
これらの難しい選択において、自分で納得して決めるためには、どうすればよいのでしょうか。

ひとつの例を挙げます。
同期で入社した同僚が自分よりも先に昇進した。
自分も彼の出世をよろこんでいる振りをしているが、心の中は素直によろこべない。
こういうときは、「同僚に先を越されて悔しい」「不平を言いたいが、心のせまい人間だと思われたくない」という葛藤に悩まされています。
黙っていては、同僚だけが賞賛され、誰も自分に注目してくれないという不満が残る。
同僚の陰口を言って非難すれば、心はすっきりするかもしれないが、嫉妬してひがんでいると思われてしまう。
どちらを選んでも、心から納得することができず、わだかまりが残ってしまいます。

「こちらを選ぶのも不満だ」「あちらを選ぶのも嫌だ」と考えていては、正しい判断をすることはできません。
「どちらが嫌か」ではなく、「どちらがよいか」を判断の基準とすべきなのです。
「こうすると悪い結果になる」ということは、「こうしなければ、よい結果がえられる」ということを意味します。
悪いほうではなく、よいほうだけを較べて選べばよいのです。

同僚の昇進をよろこべば、まわりからは心の広い人間だと思われます。
堂々とした潔い態度は、さわやかな印象を与え、尊敬や信頼をえることはあっても、失うことはないでしょう。ひょっとすると、出世した同僚よりも立派だと思われることもあるかもしれません。
ほかの同僚たちの賛同や支援をえやすくなり、これからの自分の仕事にとっても大いにプラスとなります。
同僚に先を越された悔しさは残るかもしれませんが、悔しさをバネとして努力すれば、それを帳消しにしてなおあり余るほどの利益がもたらされるのです。

対して、同僚の昇進をよろこばず、非難をするとどうなるでしょうか。
本当は自分が先に出世すべきだ、自分のほうが能力が高いのだ、あいつは上司に取り入って昇進させてもらったのだ……。
そう陰口をたたけば、一時的にうっぷんを晴らすことはできるかもしれません。しかし、まわりの人たちは、素直にそう思ってはくれないでしょう。
自分の印象は確実に悪くなります。逆に自分が陰口を言われることになるかもしれません。
「一時的に気が晴れる」という小さな利益に較べて、失う損失はあまりに大きすぎます。
どちらを選んだほうが得なのかは、もはや言うまでもありません。

よいほうの結果を判断の基準とすれば、どちらを選択すべきかは、おのずから明らかとなります。
「好きな人に思いを打ち明けたい」「しかし、断られて恥をかくのは嫌だ」
そう悩んだときは、こう考え直すべきです。
黙っていれば、少なくとも振られて恥をかくことはないだろう。しかし、「恥をかかないこと」がそれほど重要だろうか。そもそも、交際を断られることが恥だろうか。
好きだと言われて嫌な気分になる人はいない。たとえ断られても、嫌われることはないだろう。自分の思いを伝えることが、何より大切なのだ。
すると選択肢は、こう変わります。
「好きな人に思いを打ち明けたい。うまくいけば付き合うことができる」「断られても、自分の気持ちは判ってもらえる」

「正しい選択」とは、選択肢を決める段階からすでに決まっているのです。
それを選んだことによってえられる「よい結果」に目を向ければ、「自分が何を望んでいるのか」「何を幸せだと思うのか」を改めて見つめ直すことができます。
これまでかたくなに守ろうとしていたものが、実はそれほど価値のないものであるということが判ったり、死ぬほど怖れていたことが、たいした脅威ではないということに気づいたりするでしょう。
「自分が心から望んでいること」をはっきりと認識すれば、その時点で、どちらを選択するかは決まったも同然なのです。

No.290 - 299
前の10件 次の10件