No.285『他人とふれ合い、自分と向き合う』

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独りぼっちでいることが耐えられない、という人がいます。
買い物に行くのも、食事をするのも、必ず誰かを誘って行きます。
休みの日に家で独りで過ごすなどということは考えられず、手当たり次第に友人たちに連絡をし、誰もつかまらないと、まるで自分だけが世の中から取り残されてしまったような不安と焦りにさいなまれます。
他人との一体感をもつことでしか、自分の存在意義を確認できないのです。
人当たりはよく、社交的に見えるのですが、他人と対立することを避け、心には鬱憤がたまっています。

他人に文句が言いたくても言えず、笑顔をつくってしまう。頼まれれば、嫌なことでも断れない。他人の感情を素早く読み取り、自分を押し殺して相手に合わせてしまう。
心がすり切れるほど他人に気を遣ってでも、独りぼっちになることを避けようとしているのです。
それだけに、自分を尊重してくれない人がいれば、はげしい怒りを感じます。
恋人は、どんな大事な用よりも自分と会うことを優先すべきだ。友人にメールを送って、すぐに返信がないと腹が立つ。自分以外の人が楽しそうにしているのを見ると、邪魔をしたくなる……。
「他人が自分を見捨てようとしていないか」をつねに警戒して怯えているのです。

他人との関わりを大切にし、多くの人とふれ合うということ自体は、悪いことではありません。
しかし、付き合いを楽しんでいるわけではなく、「独りぼっちになるのが怖い」という強迫的な考えに突き動かされているのだとすれば、やはり問題です。
「すべての人から好かれなければならない」「つねに他人から好かれていなければならない」と考えている人は、誰とも深く付き合うことはできないのです。

「他人と一緒にいなければ不安で仕方がない」という人は、独りで自分と向き合うことを避けています。
自分は、他人の役に立っているだろうか。有意義な人生を送っているだろうか。目標や信念をもって生きているだろうか。そう自分に問いかければ、うまい答えが見つからず、落ち込んでしまう。
その無力感、劣等感を埋め合わせるために、必死で他人から認められようとするのです。

逆に、他人との関わりをいっさい絶って、自分の殻に閉じこもってしまう人もいます。
そういう人もやはり、他人を敵と見なし、「傷つけられるのが怖い」という強迫的な考えにしばられています。
つねに他人と一緒にいなければ不安で仕方がないという人は、「他人とも自分自身とも真剣に向き合うことを避けている」という点において、他人を拒絶している人と根本的に同じなのです。

他人に依存してばかりいるのも、他人をまったく拒絶してしまうのも、正常な人間関係とはいえません。
他人とふれ合う時間も大切ですし、静かに内に向かう時間も同じくらいに大切です。
他人とふれ合うことで、そのありがたみが判りますし、孤独と向き合うことで、自分の考えを整理できます。
人間の心は、言わば「ぬか床」のようなもので、「ときどきかき混ぜること」と、「じっくり熟成させること」の両方が必要なのです。

どこまで他人を頼り、どこまで自分の力で生きるべきか。
どこまで他人に譲り、どこまで自己を主張すべきか。
それはその人の性格によっても違うでしょうし、時と場合にもよるでしょう。
問題は、それが積極的な意欲にもとづくものなのか、強迫的な不安によるものなのか、ということです。

独りぼっちは淋しい。しかし、他人と関わって傷つくのも怖い。
強迫観念にしばられている人は、「できるだけダメージを避けよう」ということにしか考えが及んでいません。
ダメージを受けずにすんだとしても、それはプラスではなく、ゼロにすぎないのです。マイナスを避けることに終始するだけの人生によろこびはありません。

他人と衝突することがあっても、本音をぶつけ合ってこそ、理解し合えるのだ。
孤独と向き合ってこそ、しっかりとした自分をもてるのだ。
大きなプラスを手に入れるために、あえて小さなマイナスを受け入れることが必要です。

他人の意見は、参考にするのはかまいませんが、振り回されてはいけません。つねに愛され続けることは不可能です。すべての人から愛されている人はいません。
他人から認められることは、たしかにすばらしいことですが、それは人生の「励み」にはなっても、「目的」であってはならないのです。

独りでいるとき、孤独の不安に襲われたなら、こう自分に言い聞かせてください。
「私は独りではない。目を閉じれば、親しい友人や家族の顔が思い浮かぶじゃないか」
何か行動するとき、つい他人の顔色をうかがってしまう人は、こう自分に問いかけてください。
「もし、誰にも見られていなくても、同じ行動をとるだろうか」
独りでいるときは他人と一緒にいるように、他人といるときは独りでいるように行動すれば、精神のバランスがうまくとれるようになるでしょう。

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