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たかたまさひろ(著)

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No.275『他人の気持ちが判らないという悩み』

大学生のA君は、アルバイト先で知り合った女性に片思いをしているのですが、いまひとつ彼女の気持ちが判らず、告白していいものかどうか、あと一歩が踏み出せずに悩んでいます。
A君のほうからデートに誘うと、彼女は応じてくれます。しかし、あまり楽しそうではなく、どこか態度が素っ気ないのです。

これまでに数回デートをしたことがあるのですが、恋人という関係に発展することはなく、「いい友達」という状態。
メールも、いつもA君の側から発信すれば、彼女は返事をしてくれるのですが、彼女のほうから先に送ってくれることはありません。
A君は、彼女に嫌われてはいないと思うのですが、「ひょっとして、彼女はいやいや付き合ってくれているのではないか」という不安も拭えないのです。
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A君は、彼女にどう対処すればよいのでしょうか。
ここでまず、A君の考え方の大きな間違いを指摘しておかなければなりません。
A君は、「彼女が自分のことを好きなのかどうか判らない」と悩んでいますが、そもそも、他人の気持ちを白か黒かで特定することなど不可能なのです。
彼女の気持ちを表すならば、「デートに誘われることはうれしいが、自分から積極的に好意を示したいと思うほどではない」というところでしょう。
今のところはそうですが、これから変わるかもしれないのです。

「他人の気持ちが判らない」という不満をもったときは、「では、自分はどうなのか」と自問してみなければなりません。
A君もまた、彼女の気持ちを探り、「自分も彼女に好かれているということが判ったら、告白しよう」というあいまいな態度をとっています。「振られてもいいから、どうしても彼女に自分の好意を伝えたい」というほど積極的ではないのです。
彼女もまた、「A君の気持ちがよく判らない」と思っているに違いありません。

人の気持ちは複雑で、つねに揺れ動いているものです。
ある人のことを「好きか、嫌いか」という両極端な選択肢で単純化することはできません。
「ある部分は好きだが、嫌いな部分もある」というのがふつうの感情です。
また、一度好きになったからといって、四六時中その愛情が続くわけでもありません。
好きなときもあるし、そうでないときもあるのです。

A君の考え方の問題点は、自分の気持ちさえはっきりしていないのに、「彼女は気持ちを明確に示すべきだ」と思っていることです。
彼女にA君のことを好きだと言わせれば、「自分でそう言ったのだから、約束を守りなさい」と、以後の責任をすべて彼女に押しつけることができます。
A君は心おきなく、「僕を好きなら、ああしてほしい、こうしてほしい」と要求することができます。
もっともA君は、そこまで悪意をもって彼女をおとしいれようとしているわけではないでしょうが、「自分への愛情を示してほしい」と思うということは、つまり他人を都合のいいように支配・管理しようとすることなのです。
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他人を型にはめて単純化しようとしてはいけません。
もし他人が自分への愛情を示してくれたなら、その愛情はその場かぎりのものとして、その瞬間に感謝しつくさなければならないのです。
他人が一度愛情を示してくれたからといって、明日も、その次の日も変わらぬ愛情を要求する権利などありませんし、相手にその義務もありません。
「他人が自分を愛してくれているか」をいちいち気にするのは、ほとんど無駄な努力です。
仮に愛情を確認できたとしても、その効用は一瞬にすぎないのです。

自分に自信のもてない人は、つい他人に対して「私を受け入れてくれるか、否か」と二者択一を迫ってしまいます。その押しつけがましさのために、かえって他人から敬遠されてしまうのです。
恋愛において、「相手が自分のことを好きなのかどうか判らない」と悩んだときは、きっと相手も同じことを思っています。
「今、どう思われているか」よりも大切なことは、「これから自分がどうしたいか」ということです。
完璧に好かれていなくても、ともかく良好な関係を築くよう努力していけばよいのです。
人間関係は、つねに「これからつくり上げていくもの」と考えるべきなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.270-279
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