No.268『何のために他人と付き合うか』

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職場や学校になじめず、うつ状態になったり、家に引きこもったりしてしまう人の数は、ますます増えつつあります。
また、それほど深刻な事態には至らなくても、表面的にはふつうに社会生活を送りながら、他人との付き合いを極力避けて暮らしている人も併せれば、膨大な数にのぼるのではないでしょうか。

そういう人は、他人との関係などどうでもいいと思っているのかというと、けっしてそうではありません。
本当に人間関係などたいして重要ではないと思っている人は、気負うことなく、誰とでも気軽に付き合えるはずです。
人間関係の苦手な人は、むしろ「他人と深い関係を結びたい」という意識が強すぎる人なのです。

自分が好かれているという確信がもてなければ、他人と付き合えない。
他人から批判されたり、恥をかかされたりすることに耐えられない。
自分の欠点のせいで、他人に迷惑をかけたり、他人の機嫌を害したりするのではないかという不安を感じる。
このようにあまりにも高い理想にしばられ、深刻に考えてしまう人が、その理想が崩れることを怖れて、心を閉ざしてしまうのです。

日本では、学校でも職場でも、「協調性」ということが重要視されます。
「協調性のない人間はつまはじきにされる」という不安が人々を支配し、自己の主張を抑えてでも他人に調子を合わせることをよしとする風潮があります。
その不安と抑圧によって、知らぬ間に積もり積もったストレスが、心を押しつぶしてしまうのです。

もちろん、多くの人が集まって何かをなしとげるためには、協調性は大切です。
しかし、「協調する」とは、節操もなく他人に迎合することではありません。
ある目標を達成するために、知恵を出し合い、互いの足りない部分を補い、ときには他人の過ちを指摘したり、意見をたたかわせたりすることも、立派な「協調」なのです。

口うるさい上司に毎日ガミガミと注意されて、会社に行くのが嫌になっている人もいるかもしれません。
そういうときは、「私は何のために会社に行っているのだろうか」ということを考え直してみてください。
自分が上司に好かれたり、認められたりすることが仕事の目的ではありません。
最終的な目的は、「よい仕事をすること」です。

好き嫌いの感情だけにとらわれていては、冷静な判断力を失い、上司から適確な指摘を受けても、「私のことが嫌いだから、いちゃもんをつけているのだ」と、短絡的な被害妄想がふくらんでしまいます。
好きな人に言われたなら素直に受け入れられることでも、嫌いな人に言われれば腹が立つものです。
「上司に注意されたこと」そのものよりも、「嫌いな人に文句を言われた」ということがストレスの原因となっているのです。
その上司は、「自分が嫌われてでも、よい仕事をすること」を優先させているのかもしれません。孤独に耐え、立派に自分の責任を果たそうとしているのです。見方を変えれば、きっと見習うべきところもたくさんあるでしょう。

「仲よくする」だけがよい人間関係とはかぎりません。
仕事の上では、緊張感をもって厳しい態度で向き合うほうが、よい関係だと言えることもあるのです。
人それぞれにやり方は違っても、「仕事をするために会社にきている」という目的は同じです。
「よい仕事をすることが目的なのだ」と考えれば、上司に好かれるか嫌われるかということはたいして重要ではなくなるのです。

他人と付き合うことの目的は、「好かれること」ではありません。
他人から嫌われることによる不利益よりも、嫌われないようにと自分を押し殺してストレスをため込むことの害悪のほうがはるかに大きいのです。
他人から嫌われることを極度に怖れている人は、「嫌われれば、その人との関係は終わりだ」と思っているのかもしれませんが、相手もそう思っているとはかぎりません。
好き嫌いは、人間関係の要素のひとつにすぎないのです。

「嫌われないこと」よりも大切なものがあります。
対人関係に悩んだときは、「何のためにこの人と付き合っているのだろうか」という原点に立ち返ってみてください。

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