No.248『自分の思い通りになる人がいい人ではない』

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人間関係にはストレスがつきものです。
適度なストレスは張り合いをもって生きるために必要ですが、度が過ぎると、「もう誰とも付き合いたくない」と思うほど心が弱ってしまいます。
人間関係に疲れてしまう人は、他人を「いい人」と「悪い人」に区別し、それをいちいち見破ろうとして、心が疲れ果て、他人にも自分にも嫌気がさしてしまうのではないでしょうか。
そこから脱するためのきっかけとして、「自分の思い通りになってくれる人がいい人ではない」と自分に言い聞かせてみてください。

私たちが他人に対してストレスを感じる原因としては、「嫌な思いをさせられる」「自分の要求に応えてくれない」などということがあげられます。
しかし、だからといって「この人は悪い人だ」と短絡的に考えてはいけないのです。
「どうすれば他人から責められずにすむだろうか」「どうすれば他人に嫌な思いをさせられずにすむだろうか」といくら考えても、解決方法は見つかりません。
怒りや憎しみという感情も、私たち人間に必要なものだから与えられているのです。「そこから何が学べるか」と見方を切り替えてみましょう。

私たちは、お酒を飲みすぎて二日酔いになってしまったときには、薬を飲みます。
薬を飲めば、つらい症状を抑えられます。しかし、薬があるからといって、はじめからそれを当てにしてはいけません。
お酒に弱い人が、「あとで薬を飲めばよい」と安心して、無理に大量のお酒を飲み続ければ、やがて身体を壊してしまいます。
薬があるせいで、大量にお酒を飲み続け、寿命を縮めてしまったならば、薬はその人にとって、逆に毒だということになるのです。

もし自分のまわりの人間が皆、いっさい自分に逆らわず、どんな要求にもすぐさま応えてくれ、いつもニコニコと機嫌をとってくれるような人ばかりだったら、どうなるでしょう。
私たち人間は弱いものですから、「何をやっても許される」と図に乗り、他人への気遣いも思いやりも、努力も向上心も忘れ、怠惰で横着な人間に成り下がってしまうでしょう。
「逆らってくる人」「なかなか許してくれない人」がいるからこそ、私たちはつねに緊張感をたもち、自分が間違っていないかを省みて、日々成長していくことができるのです。

どうしてもつらいとき、苦しいときは、それを理解してくれる人がいるならば、他人に頼り、他人の優しさに甘えるのもかまいません。そこに人付き合いのよろこびがあるといってもよいでしょう。
どんなに注意していても、病気になったりケガをしたりしてしまうことはあります。そういうときには、薬は苦しみを和らげてくれるありがたい存在です。
しかし、薬に頼りすぎて、自分の身体をいたわることを忘れてはいけないのです。

「他人に愛されたい」「他人に優しくされたい」と要求する人は、自分で自分を大切にせず、その心の傷を癒やしてくれる薬を求めてばかりいるのではないでしょうか。
二日酔いが「お酒を飲み過ぎてはいけませんよ」という身体からの警告であるのと同じように、心の痛みや苦しみも、自分に何かを教えてくれているのです。
安易に薬に頼るのではなく、痛みの原因を探り、自分の心をいたわることからはじめなければなりません。

他人に腹が立つのは、「自分にもある欠点」を相手の中に見いだすからです。心の奥にそっと眠らせておいた劣等感を揺り起こされるのが怖いのです。
「自分が同じ過ちを犯したら、他人からこっぴどく非難され、嫌われるだろう」という怖れや悔しさが、「だから、この人も責められるべきだ」という怒りに火をつけるのです。

人それぞれ欠点がありますが、どんな欠点も、程度の差こそあれ、人間なら誰もがもっているものです。他人の欠点は自分にもあると考えて間違いないでしょう。
まったく自分にないものは、その存在すら知らないのですから、他人の中にも見つけることはできません。
ずるさ、弱さ、嫉妬深さ、利己心、ごう慢さなど、みじんもないという人が、この世にいるでしょうか。

他人への怒りは、本当は自分への怒りです。
他人の欠点は、自分の欠点を教えてくれているのです。
おかげで自分が謙虚に自分の欠点を見つめ直し、それを受け入れ、心穏やかに生きられるようになったなら、自分にとって「嫌な人」は、「いい人」に変わるのです。

他人もおそらく、その人自身の欠点によって苦しみ、損をしているはずです。
他人の欠点に腹が立ったときは、「どうかこの人が苦しみから救われますように」と祈ってあげてください。
他人を許して、心に余裕ができれば、自分も許すことができ、自分を愛するように他人も愛することができるようになるでしょう。
自分の幸せのためにも、他人の幸せを願ったほうがよいのです。

「自分の思い通りになるか、どうか」という利己的な主観だけで他人を評価していては、多くの場合、判断を誤ってしまいます。
自分の機嫌をとってくれる人がいい人とはかぎらず、自分を嫌な気分にさせる人が悪いというわけでもありません。
相手がいい人になるか悪い人になるかは、自分がその関係をどう生かすかにかかっているのです。
他人に対して嫌な思いをしたとき、そこには、自分を成長させてくれる宝物がかくれているかもしれません。
そう考えるくせをつければ、人付き合いもずいぶん楽になるのではないでしょうか。

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