No.247『自分に自信がもてないとき』

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ある男子高校生は、新しい学年が始まることが憂鬱でたまりませんでした。
学年が上がってクラスが変わるたび、一人ひとりがクラス全員の前で自己紹介をしなければならないのです。
恥ずかしがり屋の彼は、大勢の前で話すのがとても苦手です。去年は、皆の前に立っただけで顔が真っ赤になり、足がガクガク震えてしまいました。
今年もきっと、うまく話すことができず大恥をかいてしまう……。そう考えるだけで、夜も眠れないのです。

彼は、その悩みを思いきって仲のよい友人に打ち明けました。
そして、その友人のひと言で、彼ははっと目が覚めたのです。
「お前、どれだけ立派なことを言おうと思ってるんだ?」

実は、友人にそう言われた直後、彼は少し腹が立ちました。
恰好をつけている、思い上がっている、と言われたような気がしたからです。
思い上がりだなんて、とんでもない。まったく正反対だ。俺は、自分に自信がもてなくて悩んでいるのに……。

しかし、後でゆっくり考えてみると、友人の言ったことはまさに的を射ていたのです。
自分を恰好よく見せようとするから、失敗を怖れてしまうのだ。恥ずかしいと言いながら、本当はもっと注目されたい、賢い人だと思われたい、話の面白い人だと思われたい、と高望みしていたのではないか。
友人の言葉に腹が立ったのは、自分の隠された本心を認めたくなかったからではないか。
プロのタレントのように気の利いた話などしなくていい。自己紹介など、ただ自分の好きな教科、趣味、部活動などをありのままに話せばよいのだ。
そう考えるようになって、彼は無事に、皆の前で堂々と自己紹介をすることができたのです。

人はどうしても、自分を偉く見せたい、賢く見せたい、強く見せたいと思ってしまうものです。
しかし実際に他人からは、自己評価の80パーセント、いや半分ぐらいしか評価されていないと思ってほぼ間違いないでしょう。
自信のなさ、恥ずかしさとは、この自分と他人との評価の落差がもたらすものなのです。

自分を偉く見せよう、強く見せようとすれば、他人を警戒させ、結局よけいに叩かれることになってしまいます。
叩かれても負けないように強くなればよいのだと思う人もいるかもしれませんが、どれだけ強くなっても、他人を負かせば恨みをかい、得策とはいえません。
「どれだけ偉いか」「どれだけ強いか」で競い合い、たとえ頂点に立ったとしても、しょせんお山の大将にすぎません。
さらに一歩、高い次元へと踏み出すべきなのです。

「私はこんなに偉い」「私はこんなに賢い」と自慢ばかりする人は、結局、「私は誰からも認めてもらえない」ということを暴露しているようなものです。
ふだん他人から尊敬され、慕われている人は、あえて自分を大きく見せようとはしないものです。
自慢をする人は、誰も褒めてくれないから、自分で自分を褒めざるをえないのです。

暴力で他人を服従させることはできるかもしれません。
しかし、他人が怖れているのは、あくまで暴力であって、その人自身ではないのです。
地位が上がれば、他人をあごで使うことも可能かもしれません。
しかし、他人はその人に対してではなく、地位や肩書きに頭を下げているにすぎないのです。
暴力で脅したり、地位をかさに着て偉そうにしたりする人は、「私は、そこまでしなければ他人とまともにわたり合えない」と言っているのと同じです。
力を誇示すればするほど、いかに自分が弱い人間かを白状していることになるのです。

自信のなさは、隠そうとすればよけいに露わになってしまうものです。
自信がもてない、他人とうまく話せない、と思ったときは、自分にこう問いかけてみましょう。
「私は、自分をどれだけ立派に見せようとしているのか」

他人は、自分が思っているほどには、自分のことを高く評価してはくれません。
しかし、それでちょうどいいくらいだと思える人が、本当に偉い人なのです。
人はどうしても、思い上がり、おごり高ぶってしまうものだから、他人はそれを戒めてくれるありがたい存在だと思えばよいのです。

「他人に認められたい」という欲求は、なかなか抑えられないかもしれません。
無理に欲求を抑えようとするのではなく、目指す方向を転換するのだと考えれば、楽に始められるでしょう。
どんなお金持ちの幸福も、貧乏でも幸せに暮らしている人にはかないません。

心の豊かさも、「どれだけ他人から認められるか」ではなく、「どれだけ他人から認められなくても平気でいられるか」で測られるのです。
本当に賢い人は、いたずらに他人と張り合おうとはせず、わざと自分をバカに見せて人を笑わせる余裕もあるはずです。
偉いと思われたいならなおさら、自分の偉さはそっとしのばせておいたほうがよいのです。

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