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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

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たかたまさひろ(著)

No.230『負けるが勝ちという選択』

対人関係でトラブルが生じたとき、私たちはつい、「どちらが間違っているか」で決着をつけようとしてしまいます。
恋人が私の気持ちを判ってくれない、友人に冷たい態度をとられた、同僚と仕事のやり方が合わない……。
相手の間違いをただし、説き伏せることができれば、一時的に気は晴れます。

しかし、まわりのすべての人と正当性を争って対決し、勝利をおさめたとしても、いったい何が残るでしょうか。
敗れた側には恨みが残ります。他人から恨まれることは、自分にとっても損なことです。
まわりのすべての人を打ち負かせば、すべての人から恨みをかいます。それが果たして幸せといえるでしょうか。
豊かな人生を送るためには、「正しいこと」よりも大切なものがあるのです。
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人間同士のトラブルは、片方だけの問題によって起こるのではありません。双方ともが勝ち負けにこだわっている場合にのみ起こります。
片方に問題があっても、もう片方がその問題に頓着せず、おおらかに譲ることができれば、トラブルとはなりません。

「私は他人に迷惑をかけられてばかりいる」と腹を立てている人も、「負けたくない、損をしたくない」と張り合っているという点では相手と同じです。相手のほうがうわ手だったから悔しいだけなのです。
自分への不満が多い人ほど、他人を見る目も厳しくなります。「私はこんなにつらい思いをしているのだから、あなたも少しは苦労しなさい」というわけです。

「どちらが間違っているか」を明らかにしても、人間同士のトラブルは解決しません。
どちらが間違っているかという問題ではなく、互いの関わり方が間違っているのです。
自分と他人の考え方がぴたりと一致することはありえません。
自分がある行動を「そうしたいからしている」のと同様に、他人もまた「そうしたいからしている」のです。

仕事とはこうあるべき、恋愛とはこうあるべきという考え方は、人それぞれに違います。
自分が相手を気にかけている度合いと、相手が自分を気にかけている度合いも同じではありません。
友人とは何でも腹を割って話し合いたいという人もいますし、ある程度の距離を置いてこそ尊重し合えると考える人もいます。
置かれている環境も、好き嫌いも、知能のレベルも、その日の体調も、みな違うのです。
自分のものさしで他人を測ろうとすれば、必ずゆがみが生じます。
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暑がりの人と寒がりの人が同じ部屋にいて、エアコンの温度を上げるか下げるか、どちらの主張が正しいかで争っても、らちがあきません。
暑がりの人が自分の要求を押し通して、強引に温度を下げたとしたなら、寒がりの人は我慢できずに出て行くでしょう。
互いが気持ちよく一緒に過ごすためには、双方が望む中間の温度でけりをつけるしかないのです。

私たちは無意識のうちに、この「中間点」を探りながら他人と付き合っているのです。
「私は恋人に気を遣わされてばかりで、いつも損をしている」という人も、本当に一方的に損をしているわけではありません。
どう思われてもかまわない相手なら、気を遣う必要もないわけです。
なぜ気を遣うのかといえば、自分が好かれたいからです。「好かれたい」という自分の要求もちゃんと押し通しているのです。

「他人に文句を言いたいのに、なかなか言えない」という人も、「自分が嫌われたくない」と思っており、「無用ないさかいを起こすのは損だ」と自分で判断しているから、我慢しているのです。
自分もまた、気づかぬうちにまわりの人に迷惑をかけ、誰かをいら立たせているかもしれません。その人たちが大人の理性をもって抑えてくれているおかげで、よけいな波風を立てずに過ごせているのです。

「自分だけが損をしている」と悩んでいる人は、幸せというものは、かぎられたパイを他人と奪い合うものだと思っているのではないでしょうか。
奪ってえられる幸せはありませんし、奪われる幸せもありません。
幸せは、奪うか奪われるかではなく、互いに増やすことができるものなのです。

奪い合いの中では、心は硬くなるばかりで、大きくはなりません。
他人に譲れば譲るほど、余裕が生まれ、自分の心は大きくなります。
他人に譲るということは、「すごすごと引き下がる」というような消極的な意味ではありません。「私は、勝ち負けにこだわるよりも、気分よく過ごすほうを選ぶ」という意志をはっきりと主張することなのです。
双方の欲求の中間点で落ち着き、互いに気持ちよく過ごすことができるならば、幸せは半分になったのではなく、むしろ倍に増えているのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.230-239
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