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No.219『いざとなったら、ひとりになればよい』

若者にとって、「友人ができるか、どうか」ということは、重大な悩みのひとつでしょう。
一見明るく、社交的に見えても、腹を割って話し合える友人がおらず、表面的な人付き合いに虚しさを感じている人も多いものです。
それほど、親友というものはなかなか得がたいものであるということです。
「学校の友人や職場の同僚たちとのくだらない話に付き合うのは疲れる。しかし、仲間はずれにされるのは怖いので、仕方なく付き合っている。楽しそうに振る舞ってはいるが、心の中は冷めている」という人もいるのではないでしょうか。
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もちろん、友人はいないよりはいたほうがよいに決まっています。
ただ、友人というものは、心からの共感、尊敬、信頼などがあってはじめてできるものです。
友人は「つくるもの」ではなく、自然に「なる」ものだと言ってもよいでしょう。
無理をして「友人をつくらなければならない」などと考えることはないのです。

「友人がいないと恥ずかしいから」という理由だけで友人と付き合っても、変に遠慮したり、逆に過剰な要求をしてしまったりするだけです。
「つくらなければならない」という義務感ではなく、自然に付き合っているうちにいつの間にか親しくなっていた、というのが本当の友人だと言えるでしょう。

友人ができないことで悩んでいる人は、友人がいないことそのものを悩んでいるというよりも、まわりから「あいつは友人のいないつまらない人間だ」と冷たい視線を向けられることを怖れているのではないでしょうか。
友人がいなくても、「他人から変な目で見られる」ということ以外に特に不都合がなければ、問題はないのです。

中には、友人のいない人をあからさまにバカにする人もいるかもしれません。
しかし、そういう人は、たとえどれだけ多くの友人に囲まれていても、心から人付き合いを楽しんではいないでしょう。きっと自分自身もひとりぼっちになることを怖れているのです。
自分が仲間はずれにされることが怖いから、ひとりぼっちの人をバカにして自分をごまかしているのです。
そんな人の言うことは気にすることはありません。
他人と付き合うよりもひとりでいるほうが楽だと思うなら、それでもよいのです。別にそれはおかしいことではありません。

家に引きこもっている人は、社会や他人との関わりを絶ち、孤独に生きる道を選んだ人だと思われがちです。
しかし実は、引きこもっている人とは、社会との関わりを拒絶している人ではなく、むしろ社会との関わりをあまりにも重要視しすぎて、「孤独になり切れない人」なのではないでしょうか。
「人前では明るくはきはきと話せなければならない。人間にとって他人とのコミュニケーション能力がもっとも重要である」と思い込んでいるから、それができないなら引きこもるしかない、と極端に考えてしまうのです。
無理をして明るく振る舞い、いやいやながら他人と付き合っている人と大差はありません。
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世の中には、誰とも深く関わらず、他人とほとんど口をきかずにできる仕事もたくさんあります。
そういう仕事をする人も世の中には必要なのです。必ず人の役に立っているのですから、恥じることはありません。
芸術家や職人なども孤独な職業です。内省的で、自分を厳しく追いつめていくタイプの人でなければつとまりません。
他人と関わることが苦手な人は、思慮深く、神経が細やかで、根気強いものです。
人それぞれ、自分の特長を生かし、自分に合った生き方をすればよいのです。

わざと他人との関係を拒絶することをすすめているわけではありません。
「嫌なことがあったらスパッと関係を絶てばよい」というのでもありません。
孤独に生きるといっても、人は必ず誰かの世話になっているわけですから、他人との関わりはできるかぎり大切にすべきです。
他人を尊重し、感謝することを忘れてはいけません。
他人に感謝はすべきですが、執着をしてはいけないのです。

人付き合いというものは、相手のあることですから、自分の思い通りにはいきません。自分の思い通りにはならないのが当然という謙虚さをもって付き合わなければならないのです。
他人と判り合えるということは、すばらしいことですが、精一杯努力しても判り合えないこともあります。それは仕方のないことです。
「いざとなったら、ひとりになればよい」という覚悟を決めることによって、逆におおらかな気分で、豊かな人間関係を築くことができるのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.210-219
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