このサイトの作者の本 累計34万部

リラックスブック

たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.200『他人への不満をうまく発散させる』

哲学者ソクラテスは、あるとき、アテネの街を歩いていて、いきなり暴漢にこん棒で殴りかかられました。
ソクラテスは、痛みにうずくまりましたが、すぐに立ち上がって、また平然と歩きはじめました。
それを見ていた人たちが、「あんなひどい目にあわされて、なぜやり返さないのか」と尋ねたところ、ソクラテスはこう答えました。
「ロバが暴れて君たちを蹴ったとき、君たちはロバを蹴り返すのかね」

ソクラテスは、けっして弱虫というわけではなく、本当の意味での「強い人」なのでしょう。
聖人ソクラテスのような寛容さを身につけることは、なかなか難しいことですが、私たちも少しは見習いたいものです。
私たちは、相手に悪意がなくても、「なんて気が利かない奴だ」「なぜ私の気持ちを理解してくれないのか」などと、自分から怒りの種を見つけ出しては、腹を立ててしまいがちです。
(↓広告の後につづきます)

ある男性は、彼女がデートで食事をおごってもらうのを当然だと考えていることに不満を感じていました。
彼女は、彼と食事を終えて店を出るとき、財布を出すそぶりも見せず、「ごちそうさま」のひと言もないのです。
男性は、器の小さい男だと思われたくないので、なかなか文句も言えません。
別に感謝してほしいわけではなく、食事代がもったいないのでもありません。ただ、もう少し彼女が気遣いを見せてくれれば、お互いに気持ちがいいのに、と思うのです。

こういう場合、どう気持ちの整理をすればよいのでしょうか。
もっともよい方法は、言うまでもなく、まったく気にしないことでしょう。
彼女にせびられたわけではなく、自分がデートをしたくてしているのですから、本当に自分が楽しんでいれば、気にはならないはずです。

お礼を言わない彼女がどうしても許せないなら、解決方法はただひとつ、食事をいっさいおごらないことです。
それで壊れてしまうような関係なら、どうせいずれ壊れるでしょう。
彼は、「どうしてお礼を言うぐらいのことができないのか」と憤っていますが、「それぐらいのこと」にしつこくこだわっているのは彼自身なのです。
たかが「それぐらいのこと」なのですから、自分が気にしなければよいのです。

と言っても、それができるくらいなら、はじめから悩んだりはしないでしょう。
次によいのは、彼女を傷つけないよう、それとなく伝えることです。
懐がきびしいときは、無理をして気取ろうとせず、正直にそう言えばよいのです。
あまり神妙にかまえず、嫌味にならない程度に茶目っ気を出したり、ユーモアを交えて言う余裕があれば、なおよいでしょう。

よくないのは、面と向かって文句を言えないくせに、まわりの友人に彼女の陰口を言うことです。
そしてもっともよくないのは、彼女に文句を言った上に、まわりにも彼女の悪口を言いふらし、いつまでも根にもつことです。
(↓広告の後につづきます)

他人の考え方は、聞いてみなければ判らないものです。
その彼女は、ひょっとすると、女性が払うのはかえって失礼にあたると考えているのかもしれません。
彼女の気持ちを知りもしないのに、あれこれ想像して勝手に腹を立てても仕方がないのです。
やはり恋人同士は、正直な気持ちをぶつけ合ってこそ、交際している意味があります。
言いたいことも言えない相手と、よそよそしい付き合いをしていること自体が間違いなのです。

他人がどういう人間であるかということは、あくまで自分のとらえ方ひとつにかかっています。
女性が、「ぐいぐい引っ張っていってくれる男性が好き」だと思っていても、実際にそういう男性と付き合っていくうちに、「ただ強引で自分勝手なだけ」だと思うようになるかもしれません。
男性が、ある女性の「気さくで愛嬌のあるところが好き」だと思っていても、実際に付き合ってみれば、「俺以外の男に愛想を振りまきやがって」と嫉妬にかられるようになるかもしれません。
恋人が毎日電話をしてくれるのが、はじめのうちはうれしかったのに、やがて「つねに監視されているようで、わずらわしい」となるかもしれません。

不満は、相手の言動によってではなく、自分のとらえ方によって生まれるのです。
どうしても我慢できなければ、不満をはっきり伝えるのもよいでしょう。ただイライラを募らせて心の中で相手を恨むよりは、よっぽどましです。
ただし注意すべきは、その目的は自分の不満を解消することであり、相手の行動を強制することではない、ということです。

彼女が頑として食事代を払うことを拒否したとしても、彼女はそういう人だということなのですから、仕方がありません。
彼にできることは、何が何でも彼女に食事代を出させることではなく、自分が「そんなことなど気にならないほど、彼女を好きなのか」、それとも「卑屈に自分をおとしめてまで付き合いたいとは思わないのか」をよく見直すことです。
変えられるのは、自分の考え方と自分の態度だけなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.200-209
ページの先頭へ