No.177『したいこと、できることから始める』

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こころのおそうじ

こころが休まる本

人は誰も、「こうありたい」という理想を抱いています。
そして、理想を目指して前向きに進んでいく人もいれば、理想にかなわない自分を嫌悪してしまう人もいます。
理想が自分を向上させる力となるか、押しつぶす重圧となるかの違いは、それが自分の願望であるか、他人の願望であるかによります。

人間関係におけるストレスや緊張は、他人の要求に応えなければならないという重圧から生まれます。
もちろん、家族や社会の一員として、他人の正当な要求には応えなければなりませんが、自分に与えられた務めを立派に果たすということは、本来、自分にとっても喜ばしいことのはずです。

他人の要求が不当なものであるならば、相手に対して怒りや不満を感じることはありますが、自分がその要求に応えられないという劣等感をもつことはありません。
他人の要求に応えなければならないと思いながらも、それを苦痛だとしか感じられないならば、その願望は、自分のものではなく、他人によって植え付けられたものなのでしょう。

人は、他人の要求にいやいやながら応えるときでも、自分の意志の弱さを認めたくはないので、無意識のうちに、自ら望んで行動しているかのように思い込もうとします。
しかし、それは本当の自分の願望ではないので、どれだけ努力しても達成感はえられず、他人への不満と自分への嫌悪だけが募っていきます。

他人の願望に応えるためだけの行動は、ざるで水をすくうようなもので、残るものは疲労と虚しさだけです。
社会で生きていく上で、他人の役に立つことももちろん重要ですが、それ以上に重要なことは、自分の願望に応えるということです。

不安の強い人は、本当は負けず嫌いのがんばり屋さんです。
それ自体は悪いことではありません。自分の特性をうまく活かしきれていないだけなのです。

自分が劣等感を抱いていること、自分が怖れていることは、本当は、自分がもっとも大切に思っているものです。
他人とうまく付き合えないことに悩んでいる人は、他人とのつながりを大切にしたいと思っている人です。
家族に不満をもっている人は、家族の絆を大切にしたいと思っている人です。
明るくなれない自分を嫌悪している人は、本当は人一倍明るく生きていきたいと思っている人です。

人は、どうでもいいことで悩むことはありません。大切なことだから悩むのです。
自分の心からの願望であるならば、たとえかなわなくても、それを否定せず、大切に心の中で温めてください。
理想は、高くもつものだからこそ理想なのです。すぐにかなわなくても当然なのです。

不安や怖れを完全に打ち消すことを目的としていては、いつまでたっても心が安まることはありません。
私たちは、不安や怖れを抱きつつも、自分にできることをやっていくしかないのです。

自分が「すべきこと」を考える前に、まず自分が「したいこと」、その中で「できること」から始めてみましょう。
他人の要求に応えようと必死に努力し、神経をすり減らすよりも、どんなに小さなことでも自分の「したいこと、できること」を行うほうが、はるかに大きな充実感をもたらし、自分の心を豊かにすることでしょう。

No.170 - 179
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