No.139『他人を受け入れるということ』

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子育てにおいてもっとも重要なことは、褒めることです。
しかし、子供への信頼も愛情もなく、ただやみくもに褒めることは、かえって悪影響を及ぼすこともあります。
特に、親の勝手な願望を押しつけて、まるで犬に芸を仕込むように、子供が思い通りになったときだけ褒めるというのは、禁物です。
親はよかれと思って褒めたつもりでも、子供にとっては、「親の望む通りの人間にならなければ、自分は見捨てられる」という恐怖を抱いてしまうのです。

そういう育てられ方をした人は、自分の意志や欲求は後回しにして、つねに他人の気持ちを先回りして読み取り、びくびくと他人の顔色をうかがうようになります。
ものごとの良し悪しを自分の頭で判断することができず、「他人に気に入ってもらえること」が価値基準のすべてとなってしまうのです。

いつも他人から嫌われていないかと不安に怯えてばかりいる人は、子供のころ、「いい子にしなさい」「しっかりしなさい」と言われ続けたのではないでしょうか。
自分に自信がもてないのは、つねに強く立派であり続けなければならないという重圧に耐えきれず、他人の期待を裏切って見捨てられることを怖れてしまうからです。

他人の心を推し量ることは、悪いことではありません。むしろ、繊細な人間だけに与えられたすばらしい能力です。
優しさも気配りも思いやりも、他人の気持ちを汲みとることから始まります。
せっかくの優れた能力を、自分を犠牲にして他人に合わせるためだけに使ってしまうのは、とてももったいないことです。

もちろん、他人を傷つけまいと気を遣うことは大切です。
しかし、それよりも重要なことは、相手の人間性を尊重し、しっかりと向き合うということです。
人は、喜びや悲しみを共有し、励まし合い、認め合うために人と付き合うのであって、嫌われないように神経をすり減らすために付き合うのではありません。

自分を押し殺してまで他人の機嫌をとろうとする人は、自分という土台が心もとないから、他人から認められることによって自尊心を埋め合わせようとしています。
しかし、機嫌をとることで相手の心をコントロールしようとし、「私を認めてほしい」という自分本位な欲求を他人に押しつけているだけで、結局、自分も相手も大切にはしていないのです。
そんな人間関係が実を結ぶはずがありません。

人は、自分を愛する以上に他人を愛することはできませんから、自分を大切にしていない人は、他人を大切にすることもできません。
他人から嫌われることを怖れるのであれば、おざなりに他人のご機嫌をうかがうのではなく、まず自分を大切にしなければなりません。

自分を大切にするということは、ありのままを受け入れるということです。
自信は、強がったり恰好をつけたりしても絶対にえられるものではありません。
つねに強く明るく立派であることなど、誰にも不可能なことです。本当に強い人とは、自分のネガティブな感情さえも素直に受け入れられる人のことです。

他人に弱い部分やみにくい部分を知られては嫌われてしまうという、子供のころに植え付けられた間違った考えは、捨てなくてはなりません。
弱さを隠して強がってばかりいる人よりも、弱いなりに自分を受け入れている人のほうが、他人からは慕われ、信頼され、愛されるものです。
ありのままの自分を大切にしてはじめて、他人もありのままに受け入れることができるのです。

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