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No.119『嫌いな人への対処』

いかに上手に他人と付き合うか、いかに他人を愛するべきか、について書かれた本はたくさんありますが、他人の「正しい嫌い方」という本はあまり見かけませんし、学校でも教えてくれません。
もちろん、人を愛するということはすばらしいことですが、社会で生きていく上では、嫌いな人とどう向き合うかということも、同じくらいに重要なことです。

「人を嫌うのは悪いことだ」という雰囲気が日本中に蔓延し、多くの人が他人を傷つけないように必要以上に気を遣い、また自分が嫌われることを怖れて神経をすり減らしています。
会社のすべての同僚に好かれなければならない。学校のクラスで孤立してはいけない。家族は親密でなければならない。
人を嫌ったり、人から嫌われたりすることが、まるで人間失格の烙印を押されることであるかのように思い込んでいるのです。
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他人を嫌うということは、自分にとっても不愉快な感情なので、なるべく抑えたほうがよいに決まっています。
しかし、ものごとは何でも一対をなしています。人間に「好き」という感情がある以上、反対の「嫌い」という感情が存在するのは、当たり前で、ごく自然なことなのです。

人を嫌うということは、あくまで「自分が気に食わない」という主観の問題であり、相手が絶対的に悪いというわけではない、ということさえ判っていればよいのです。
「私はあの人が嫌いだ」とはっきり自分で認めることができれば、その人のことはどうでもよくなり、嫌いという感情は薄れるものです。
他人を嫌っているという自分の心を受け入れられない人こそが、ひねくれた性格になり、他人に迷惑をかけてしまうのです。

いつまでも他人への恨みを引きずり、実際に仕返しなどの行動に出てしまう人は、「人を嫌うのは悪いことだ」というあまりにも清らかな理想にしばられているのです。
自分を嫌う他人が許せないのと同時に、他人を嫌っている自分自身にも嫌悪感を抱いているのです。だから、自分の清らかな心が毒されたことが許せなくなるのです。

人間不信に陥ったり、ストーカーになったりするような人も、「人は皆、他人を嫌ってはならない」という形ばかりの理想にとらわれています。
自分が他人から嫌われるなどというのはあってはならないことだと考えているので、実際に嫌われてしまったとき、それを受け入れられず、もがき苦しんでしまうのです。
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他人から嫌われることを極度に怖れている人は、いじましいほどに他人のご機嫌をうかがいながら生きていますが、ある人から嫌われているという事実を知ったときには、逆に激しくその人を憎んでしまいます。
自分が悪いのではないという言い訳をするために、徹底的に相手を悪者にしなければ気がすまないのです。嫌う場合も嫌われる場合も、自分は善良な被害者でありたいのです。
潔癖なほどに清らかであろうとする心の働きが、皮肉なことに、憎しみというみにくい感情への執着を生んでしまいます。

人と付き合う以上は、嫌われることもあるし、自分が嫌うこともある、ということを前もって覚悟しなければなりません。
怒りや憎しみは、忌まわしいものとして遠ざけようとすれば、自分の手に負えない大きな魔物となって襲いかかってきます。
私たちは、そういうマイナスの感情も自分の一部として、うまく制御していかなければなりません。

実際に他人を傷つけるような言動をとらなければ、心の中で他人を嫌ってもよいのです。また、他人から嫌われたとしても、「そういうこともある」と受け入れなければなりません。
他人から嫌がらせを受けたときは、その行為に対して、はっきりと文句を言うのはかまいません。しかし、「相手が自分を嫌っていること」まで批難してはいけません。
何を考え、どのように感じるかということは、他人の自由なのです。そんなことまで気にかけていては、きりがありません。

人から嫌われることを極度に怖れる人は、「一方的に嫌われるのは悔しいから、こちらから先に嫌ってやる」と身構えているのです。そういう利己的な態度が、かえって他人から嫌われる確率を高めてしまいます。
「嫌われることもある」とおおらかに受け入れられる人ほど、結果的には多くの人から愛されるのです。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.110-119
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