No.105『自分の感情に従う』

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友人たちと一緒にいても、「楽しんでいるように見せなければいけない」という義務感が先立って、心から楽しめない。学校のクラブ活動も、会社の仕事も、恋愛や結婚でさえも、「好きでやっているわけではない」という思いがあり、つねに不満を抱えている……。
人生のすべてが、まるで作られた映画を観ているようであり、生きている喜び、充実がまったく感じられない、という人がいます。

あらゆることを「仕方なくやっている」と思うことによって、責任を逃れようとしてしまうのです。
自分の人生を生きていないのですから、嫌なことはすべて他人のせいであり、自分はいつもかわいそうな犠牲者です。
他人に合わせ、他人から傷つけられ、ストレスをためこんで、それに耐えることが自分の使命だと思い込んでいるのです。

そういう人は、おそらく、子供のころに、「自分の素直な感情をもつ」ことを禁じられてきたのでしょう。
家族で旅行をしているとき、本当は楽しくないのに、つまらなそうな顔をすると父親が不機嫌になるので、精一杯楽しんでいるふりをしていた。
冬でも動き回って遊んでいれば暑いのに、母親から「風邪を引くから、上着を着なさい」と厳しく叱られ、本当は自分は寒いと感じているのだと思い込もうとした。

そういう育てられ方をした人は、自分の意志で感情を抱くことは許されないと考え、他人のご機嫌をうかがうようになってしまいます。
「うれしい」「楽しい」「つまらない」という感情や、「暑い」「寒い」という感覚を感じることさえ、いちいち他人の許可が必要だと思い込んでいるのです。

他人の心をコントロールするのに、もっとも手っ取り早い方法は、罪悪感や恐怖を与えることです。
未熟な親は、子供が自分の意見を主張すれば、「そんなわがままを言う子は、悪い子ですよ」と、罪悪感を植え付けて抑えようとします。
「人の気持ちを考えなさい」というきれいごとを用いて、子供自身の感情を殺し、親の機嫌をうかがうことを強要します。
それでも子供が言うことをきかなければ、「私に従わなければ、あなたは見捨てられるのよ」という恐怖を与えようとします。幼い子供は、親に依存しなければ生きられないのですから、これは死ぬほどの恐怖です。

インチキ宗教団体も、信者たちからお金を巻き上げるために、「あなたは穢れている」「あなたには罪がある」などと、不安や罪悪感で人を脅します。
本当の宗教は、人間に生きる喜び、ありがたみを感じさせるものです。ところが、お金儲けが目的のインチキ宗教の場合は、信者たちが真の喜びに目覚め、自分の頭で判断するようになれば、困ってしまうのです。
信者たちをうまくだますためには、彼らがいつまでも意志薄弱な人間であり続け、何かに依存しなければ生きられないようにし向けなければなりません。そのために、恐怖をあおり続けるのです。

意志の弱い人は、子供のころに反抗期を経験していない、ということがままあります。
反抗期とは、「自分のことは自分で決める」という意志に目覚めるとともに、「たとえ親に反抗しても、私は絶対に見捨てられないのだ」という安心感を得るために必要なものです。
包まれるような安心感を支えにして、自分の意志をもつことができるようになるのです。

反抗期を経験できなかった人は、自我も安心感も得られないのですから、この世はまさに恐怖そのものです。誰ひとり味方のいない世界にひとりで投げ出され、無力のまま戦わなければならないという不安に苦しめられます。
子供のころに、あまりにも厳しく感情を抑えつけられたため、自分は他人に依存しなければ生きられない存在なのだと思い知らされ、屈服してしまったのです。
世の中をうまく渡っていくには、感情をおし隠し、なるべく恥をかかないようにして、恐る恐る生きていくしかないのだ、と思い込んでしまっています。

もしあなたが義務教育を終えた年齢なら、どうか目覚めてください。
素直に自分の感情に従って、意図せずして他人の機嫌を害したり、他人から嫌われたり、たとえ親から見捨てられたりしても、もうあなたは自分の力で生きていけるのです。
もちろん、他人から傷つけられれば誰でもつらいものですが、それにしても、肉体が傷つくわけでも、何かが減るわけでもありません。幼いころのように、死ぬほどの恐怖を感じることはないのです。

子供のころに恐怖心を植え付けられたことは、あなたの責任ではありません。どのような巡り合わせのもとに生まれるかは、自分で決められないのですから、くじに外れたのと同じことです。
くじに外れたことは、ただ運が悪かっただけのことで、あなたの罪ではありません。
しかし、これからの人生をどう生きるかは、あなた自身の責任です。責任という言葉が重すぎるなら、権利や自由と言ってもよいでしょう。

一生、くじに外れたことを嘆きながら生きるか。自分の足で幸せに向かって歩き始めるか。まず、それを自分の意志で決定してください。
自分の意志に従って生きるという選択をすることによって、もしあなたが後悔するとしたら、それはただひとつ、「こんな簡単なことに、なぜもっと早く気づかなかったのだろう」ということだけでしょう。

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