No.091『できることをやり尽くす』

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こころのおそうじ

こころが休まる本

画家のピカソは、独創的な画風で有名ですが、はじめからあのような表現方法を用いていたわけではなく、若いころは、基本に忠実な写実的デッサンを数多く残しています。
基本のデッサンを極めたからこそ、既成の枠に飽きたらなくなり、あの独創的な表現に行き着いたのです。

アインシュタインは、ニュートン力学という礎があってこそ、それを超える理論を打ち出すことができました。
大リーガーのイチロー選手は、バントなどの基本練習をほかの人の何倍も行ったそうです。
基礎の土台がしっかりしていなければ、既成の枠をはみ出すことはできません。

「高い理想をもつ」「不可能に挑戦する」などという言葉は、聞こえはよいですが、できもしないことを望んで、かえって自信を失ってしまっては、なんにもなりません。
できないことに挑戦するのは、できることをやり尽くしてからでいいのです。いえ、できることをやり尽くしていない人は、それ以上のことなどなしえません。

人付き合いに自信がもてない人にかぎって、理想は高く、「よどみなく楽しい会話を続けることができ、誰からも慕われる人気者」になりたいと願っています。
そして、「それができない自分はダメな人間だ」と自信をなくし、恥をかくくらいなら誰とも付き合わないほうがましだ、と心を閉ざしてしまいます。極端から反対の極端に走ってしまうのです。

友人の輪に入れない、好きな異性の前で緊張して何も話せない、という人は、自分を格好よく見せようとしすぎなのです。高い理想を描きすぎ、「いつも明るく、楽しく、気の利いた会話ができなければ、他人に受け入れてもらえない」と思い込んでいるのです。
まず簡単にできること、たとえば、にっこり笑ってあいさつするだけなら、深く考える必要もありません。
「おはよう」「ありがとう」という言葉は、誰が言っても同じことで、口下手な人でも、誰にでもできることです。そういうことから始めればよいのです。

あるテレビ番組で、友人ができないと悩んでいる若者が、「明石家さんまさんのようにしゃべれるようになりたい」と言っていたのには、驚きました。そんなことは、おそらく、誰にも不可能なことです。
友人をつくりたければ、面白いことを話そうとする前に、まず、何気ない会話を心を込めて話すことを心がけなければなりません。

話すことが苦手なら、聞き役に徹しましょう。相手にとって、「話を聞いてくれる人」は、ありがたい存在のはずです。他人の話を真剣に聞くだけでも、充分に感謝されます。
やがて慣れてきて、聞くだけではなく、自分も話したいと思うようになったら、話せばよいのです。
明石家さんまさんは、話し上手であると同時に、聞き上手です。他人の話をとてもおもしろそうに聞くので、相手も楽しく話すことができるのです。

理想的な自分をイメージすることは、悪いことではありませんが、高すぎる理想にとらわれて、足踏みをしたまま、現実とのギャップに苦しんでいたのでは、何のための理想か判りません。
ライオンは、カバが泳げることをうらやみませんし、キリンの首の長さを妬みません。

「できないことに悩む」前に、「できることはすべてやる」ということを考えてください。
自信がもてるかもてないかは、「できること」と「できないこと」のどちらに意識を傾けるか、によって決まります。
できることをやり尽くして、それでも物足りなければ、できないことに挑戦すればよいのです。「できることをやる尽くす」ことさえ、並大抵のことではないでしょう。

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