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たかたまさひろ(著)

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No.085『他人の本心を知るには』

ある男性が、いきつけの飲食店の娘さんに交際を迫り、断られた腹いせにメールで脅迫して逮捕された、というニュースがありました。
彼は以前、彼女の誕生日にプレゼントをし、「ありがとう」とお礼を言ってもらったことで、「彼女は、自分に気があるに違いない」と思い込み、つきまとうようになったそうです。

知人から贈り物をされれば、お礼を言うのは、人間として当たり前の常識です。
ところが、この男性には、それが当たり前ではなかったのでしょう。
おそらく彼は、「ありがとう」もろくに言えないような、気弱で冷たい人間だったのです。
よっぽど心を許し、好意を抱いている相手にしか、わざわざ「ありがとう」などとは言えない。自分がそうだから、相手もそうに違いないと勘違いしてしまったのです。
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自分に自信がない人は、「どうせ私のことなんか、誰も好きになってくれない」と心を閉ざしてしまいますが、また一方で、「あの人は自分に気があるに違いない」と自信過剰に思い込んでしまう場合もあります。
相反する両極端な心理のように思われますが、「自分の不安、劣等感から目をそらそうとしている」という点で共通しているのです。

ある異性を好きになっても、「自分から積極的に好きになった」のでは、愛を失ったときのショックが大きいので、その不安を覆いかくすために、「相手のほうが自分に好意をもっている」と強引に自分に言い聞かせてしまうのです。
相手にとっては、人間として当然の礼儀や思いやりからとった何気ない言動でも、「自分だけに対しての特別な好意の表現」と都合よく受け取ってしまいます。

そういうことにしておけば、愛が実らなかった場合、「その気もないのに、なぜ思わせぶりな態度をとったのか」と、相手を悪者にして責めることができ、自分の劣等感をごまかすことができるからです。
「自分から望んだわけではない」ということにしたいのです。

異性から優しくされたとき、相手にとっては何気ない言動であるのに、それを「特別な意味がある」と思い込んでしまう人は、ふだん、自分が他人を尊重していないのです。
自分が他人に対して思いやりをもっていないから、他人が特別な愛情もないのに優しく接してくれるということが信じられないのです。
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他人を褒めたり、優しい言葉をかけたりしてあげることが、自分にとっては「特別なこと」であっても、他人にとっては当たり前のことである場合もあります。
他人の心を的確にとらえることができれば、人付き合いに不安を感じることはなくなります。
他人の心を知るためには、まず、自分から積極的に他人を尊重しなければなりません。
「他人に好かれたいから」という下心を捨て、ただ、「他人が喜ぶ顔を見るのが、自分にとってもうれしいことだから」という理由で、あくまで自分の心を豊かにするために、他人に優しく接してみてください。

その喜びを知れば、逆に他人に優しくしてもらったとき、それに素直に感謝することができ、「特別な意味があるのでは」「何か見返りを期待しているのでは」などと身構えたり、過大な期待を抱いて、後で落胆したりすることはなくなります。
そして、本当に相手が自分に対して特別な好意を抱いてくれているときには、自然にそれを感じ取れるようになります。

冒頭に挙げた男性は、「相手にすげない態度をとられたから、腹が立った」、すなわち原因は相手の女性にあると思い込んでいるのでしょうが、そもそも彼女に嫌われた原因は、「交際を断られたら逆に相手を恨むような、身勝手な性格」にあるのです。
彼女は、彼のそういう性格を読み取って、避けるようになったのです。
相手の立場になって考えることができない人は、自分も他人から理解してもらえることはありません。

人は誰も、自分の心を基準にして、他人の心を想像します。
異性の自分に対する態度を「人間として当然の思いやり」か、「特別な恋愛感情」かを見分けられるようにするためには、まず、自分が他人に対して「人間として当然の思いやり」をもたなければなりません。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.080-089
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