No.049『自分が自分の一番の理解者』

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こころのおそうじ
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ある日、私が電車に乗っていたとき、駅に着いてもいないのに、走行中に突然停車しました。「停止信号が出たため」という車内アナウンスがあっただけで、原因は判りません。
1分たち、2分たち、乗客たちはいらいらとざわめき始めました。車掌に大声で詰め寄る人もいました。
やがて、電気系統のトラブルのため、しばらく停止するというアナウンスが流れました。原因が判ると、ざわついていた乗客たちも静かになりました。
原因が判ったところで、走行の再開が早くなるわけではなく、待たされる時間は同じであるのに、乗客たちの怒りや不安はおさまったのです。

人間は、「わけの判らないもの」に怖れを感じます。
人付き合いに不安や怖れを感じている人は、まず、その原因を明確にすることから始めてください。
なぜ自分はそういう性格になってしまったのか。子供のころを振り返って、自分の人格に影響を与えたと思われる人の名前を挙げていってみてください。
原因が判っても、現実やまわりの環境が変わるわけではありません。しかし、それでよいのです。
少なくとも、原因がはっきりすれば、「わけの判らない不安」はなくなり、自分を見つめ直すきっかけになります。

やはり、人格にもっとも大きな影響を与える存在は、親でしょう。
子供は、ひとりでは生きていけません。親や、自分を保護してくれる大人の存在がなくては、食べていくことはできないのです。
感情的な親、神経質な親、ときには暴力的な親であっても、子供は親に合わせ、従うしかありません。親と対立するということは、自分の生命を脅かすほどの恐怖なのです。
感情を抑圧され、人のご機嫌を伺い、いつも不安や罪悪感を感じている性格になってしまったとしても、それは自分の生命を守るために仕方のなかったことです。
そうしなければ、生き延びてこられなかったのです。

子供のころは、仕方がなかった。それはそれとして、大人になれば、やはり自分の生き方に対する責任は自分で負わなくてはなりません。
「自分は不運な境遇に生まれたのだから、特別扱いされるべきだ」という甘えをまわりの他人に押しつけても、結局、他人との溝を深め、自分をますます不幸に追い込むだけです。

完璧な親などほとんどいません。親に対して何らかの不満や反感をもっている人の方が、むしろ多数派なのです。
程度の差はあっても、誰も、よい意味でも悪い意味でも特別なんかではありません。

「自分の悲しみ、苦しみを心から理解してくれる人が現れてくれて、はじめて自分の本当の人生が始まる」などと考えていては、一生、前に進むことはできません。
「つらかったね」と、自分が自分を理解してあげれば、それでよいのです。
自分の一番の理解者は、やはり自分しかいないのです。他人が自分の人生を代わりに生きてくれるわけではないのですから。

大人になれば、どんな仕事に就いてでも、ひとりの力で生きていくことは可能です。もはや、人とのかかわり方が生命を脅かすこともなく、子供のころの恐怖を引きずる必要などないのです。

たまたま故障した電車に乗ってしまったことは、自分の責任ではありません。
ちょっと運が悪かっただけ。少しぐらい遅れたことなど、長い人生の中で考えれば、たいしたことではないではありませんか。
もう電車は走行を再開しているのです。
過去にいつまでもこだわり続け、自分の人生を台無しにするか。これからの人生を自分でつくり出していくか。どちらが得か、答えは明白です。

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