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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

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たかたまさひろ(著)

No.028『逆境を味方につけよう』

仮にあなたが、残り数年の命だと医師から宣告されたとします。
あなたは、悔いを残したまま死にたくないと、ずっと片思いだった女性に勇気を出して愛を告白しました。
彼女は、あなたの命が長くないことを知って、残された期間を最期まであなたとともに過ごしたいと言ってくれました。
彼女は毎日病院に看病にきてくれて、かいがいしくあなたの世話をしてくれます。
ついには、結婚してほしいとまで言ってくれました。

その時、もしあなたが億万長者なら、「彼女はどうせ、私の遺産が目的なのだ」と疑わざるをえません。そして、そんなことを疑う自分にも嫌悪感を抱いてしまいます。
あなたは、「自分が貧乏であったなら、彼女の愛を素直に信じられたのに」と悔やみましたが、後の祭です。

お金を儲けることが幸せだと信じて必死で働いてきましたが、結局、お金は最期の最期に本当の幸せをもたらしてはくれませんでした。
「お金がなくても幸せ」でなければ、いくらお金があっても、幸せにはなれません。そして、お金がなくても幸せならば、必要以上にお金を手に入れる必要はないのです。
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仮にあなたが、顔を整形手術したとします。あなたは、自分の顔が不細工だから男性にもてないのだと、ずっと劣等感を抱き、悔しい思いをしてきました。
多額の費用をかけて整形手術をしたおかげで、あなたは見ちがえるように美しくなり、多くの男性があなたに言い寄ってきました。しかしあなたは、心からの幸せを感じられません。

男性たちは、以前はあなたを見向きもしなかったくせに、あなたが美人になった途端、掌を返すように態度を変えました。あなたは、そんな彼らを尊敬することも信頼することもできません。
「しょせん男なんて、女性を容姿だけで判断するのだ」という軽蔑と不信感が残るだけです。そして、それはあなた自身の価値観の反映でもあるのです。

「整形手術をして、自分に自信がもてるようになり、性格も明るくなった」という女性がいますが、そんなものは、本当の自信でも明るさでもなく、「自分をバカにした人たちに復讐してやった」という虚しい満足感にすぎません。
「相手が自分を認めてくれて、はじめて自分も相手を認めてあげられる」という子供じみた考えを捨てないかぎり、幸せにはなれません。

あなたが「容姿が美しくなくても、愛される人間」でなければ、いくら美しさだけで人を惹きつけても、真の愛の喜びは感じられないでしょう。
そして、あなたが容姿に関係なく愛される人間であるならば、形ばかりの美を求める必要などないのです。

損得だけを考えれば、人間はまったく不公平にできています。
自分は清く正しく生きているのに損ばかりしている、この世には神も仏もいないのか、と思われる方もいるでしょう。
しかし、仮に、善いことをした人は必ず得をし、悪いことをした人は必ず損をするものと決まっているなら、そもそも人間に「善悪」という概念は存在せず、「損得」だけが価値のすべてとなってしまうでしょう。
すべての人が、損得勘定だけを考えて行動する--。それこそ、想像するだにおぞましい、殺伐とした世界です。
たとえ損をしてでも正しく生きることに、意味があるのです。

人は、報われることを求めて信仰をもちますが、世界中のどの宗教も、「望み通りに報われること」を目的とはしていません。
「報われなくても満足できること」こそが、人間にとって本当の幸福なのです。

逆境こそが、幸せの種です。もしあなたが恵まれていないなら、それはむしろ幸運であるといえるのです。
生まれつき恵まれている人が感じる幸せなど、本当の幸せではありません。
恵まれていなくても感じられる幸せを見つけてください。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.020-029
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