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No.280『譲ってみることで、相手が判る』

恋人に苦しめられ、傷つけられてしまう人は、いつも同じパターンの恋愛を繰り返してしまうものです。
父親の酒ぐせが悪く、母親が苦労させられているのを見て育った女性は、「私はあんな男とは絶対に結婚したくない」と思っているのに、なぜか同じように酒ぐせの悪い男性を恋人に選んでしまいます。
自分を無価値な人間だと卑下してばかりいる人は、自分を受け入れてくれるような温かい人と付き合うべきなのに、わざわざ冷たい人を恋人に選び、責められ、拒絶され、よけいに傷つけられるのです。
他人から見れば「よせばいいのに、なぜあんな人と」と不可解に思うのですが、それは本人にとっては、「失われた自己」を回復するための涙ぐましい戦いなのです。
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他人に傷つけられてばかりいる人は、人間関係を「支配するかされるかの力くらべ」という図式でとらえ、「自分の力が足りなかったから、負けたのだ」と思い込んでいます。「よし、次こそは勝とう」と。
心に問題を抱えた男性に献身的に尽くし、もし彼が立ち直って、私に感謝を示してくれたら。
乱暴で冷たい人が、私の優しさに心を打たれ、真の愛情に目覚めてくれたら。
「自分の力で他人をコントロールすることができるようになれば、これまでの苦労が報われる」と考え、無謀な戦いに挑んでいるのです。

見かけは愛情という形をとりながら、その目的を「相手が自分の望むとおりに変わってくれること」だと思っているから、恋愛そのものを楽しむことができず、最後には心身ともに疲れ切ってしまうのです。
「力くらべ」は、勝っても負けても虚しいものです。

ふたりの子供が、人形を取り合ってケンカをしています。
ふたりで一緒に遊べばいいのに、互いに譲らず、引っ張り合ったために、人形はちぎれてしまいました。
人間関係の「力くらべ」は、これに似ています。
力ずくで相手に勝つことができたとしても、えられるものは、もはや価値のない「ちぎれた人形」にすぎないのです。

幸せな人とは、人形を相手に譲り、相手が楽しんでいるのを見て、自分もよろこべる人のことです。
それを「ふがいない負け犬」とバカにする人もいるかもしれません。
しかし、人形を独り占めした人は、それを奪われないように、つねに他人を警戒していなければなりません。
また、自分よりも立派な人形をもっている人が現れれば、すぐに自分が負け犬に転落してしまいます。
そんな心もとない幸せが、本当の幸せだと言えるでしょうか。

逆に、「他人に譲り、他人のよろこびを自分のよろこびだと感じられる人」は、絶対にその幸せを他人から奪われることはありません。
また、他人と自分を較べて劣等感をもつこともありません。
それこそが、本当に強い人だけが感じられる絶対的な幸せです。
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「私は、心ない人に傷つけられてばかりいる」と嘆いている人は、無意識のうちに自ら「勝つか負けるかの戦い」に身を投じ、他人に挑戦状をたたきつけているのです。
誤った土俵の中でどれだけ必死に戦っても、本当の自信はえられません。
自分に自信のもてない人が付き合うべき相手は、「力くらべ」という尺度とは無関係に生きている人です。
誰のまわりにも、そういう温かい心をもった人は必ずいるはずなのです。

心の温かい人に人形を譲れば、きっと「あなたもどうぞ」と譲り返してくれます。よろこびや楽しみはけっして失われることはなく、相手と共有することができるのです。
他人の人間性を見極めるためにすべきことは、「人形を取り合って勝負すること」ではなく、「まず、相手に譲ってみる」ことです。
他人を変えようとするのではなく、そのままに相手を受け入れるのです。

「私はいつも好きな人に尽くし、身がすり減るほど気を遣っているのに、報われない」という被害者意識をもっている人は、要注意です。
相手に尽くし、気を遣うことの結果として「自分を愛してもらうこと」を求めているならば、それは本当に相手に譲っていることにはならないのです。
「最終的に自分の思いどおりにならなければ報われない」としか思えないような恋愛は、どのみち報われないのです。

「相手に譲る」というのは、言いたいことを我慢して自分を抑圧したり、盲目的に相手に服従したりすることではありません。
言いたいことは言い合ってもよいのですが、いたずらに相手を傷つけたり、強引に相手を従わせようとしたりしてはいけないのです。
心の通い合った関係というのは、「自分の思っていることを正直に言っても、嫌われることはないだろう」という信頼にもとづいた関係のことです。

最後に補足しておきますが、心の温かい人を選んだからといって、必ずその恋愛が成就するという保証はありません。
しかし、たとえ振られても、けっして後悔することはないでしょう。
10人の優しい人に振られても、1人の冷たい人と不毛な恋愛を続けるよりは、自分の人生にはるかに多くの実りがあります。
どのような結果になっても、「この人を好きになってよかった」と思えるような恋愛が、本当の恋愛なのです。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.280-289
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