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No.226『自分を傷つけるパターンとは』

人は恋人を選ぶとき、無意識のうちに自分の親に似たタイプの人を選んでしまうことが多いものです。
男であれば母親が、女であれば父親が、はじめて出会う、そしてもっとも大きな影響力をもつ異性です。
この親をモデルとして、異性に対する見方が形づくられます。
「私は親が好きだから、親と同じようなタイプの人を恋人に選びたい」という場合はよいのですが、悲しいことに、親を憎んでいる人もまた、親に似た人を恋人に選んでしまう傾向にあるのです。

暴力をふるう父親に育てられた女性は、同じように暴力をふるう男性を恋人に選んでしまいます。
もっとも愛してほしい存在である親に愛されなかった悲しみ、そして自分も親を愛せないという罪悪感。それらの心の整理がつかないために、何度も同じパターンを繰り返して、原因を探し、自分を納得させようとするのです。
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なぜこの人は暴力をふるうのだろう。優しいときと、暴力をふるうときとでは、何が違うのだろう。私のどこがいけないのだろうか。この人の内面を理解し、受け入れることができるようになれば、父親も愛せるようになるかもしれない。
そう考えて、恋人を親の代わりとして、「こんなはずではなかった人生」をやり直し、心の傷の修復を図ろうとするのです。

暴力をふるう恋人に苦しめられながらも、「この人も本当はきっと優しいのだ」と信じてけなげに従う女性の心の裏には、「父親を愛したい」「私の父親は立派な人だったに違いない」という捨てきれない思いがあるのです。
しかしたいていの場合、拒絶されたり利用されたりして、傷つき苦しむだけで終わることになります。

幼い子供は、自分の親は立派な人間であってほしいと願い、実際にそう信じています。
親の未熟さ、過ちによって傷つけられても、よもや「親が悪いのだ」などとは考えもしないのです。
子供は、自分を責めてまでも、親の尊厳を守ろうとするものです。親を悪者にするよりは、自分が悪いと思うほうが、気分はずっと楽なのです。

仲の悪い両親のもとで育った子供は、「両親がケンカばかりしているのは、自分が悪い子だからだ」という罪悪感をもつようになります。
なるべく親の機嫌を害さないように、よけいなことを言わないほうがよい、自分の感情を表さないほうがよい、という考えが刷り込まれます。
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大人になってからも、それを人間関係全般にあてはめ、他人からひどい仕打ちを受けてもじっと耐えて、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのだ、自分さえ我慢すれば丸くおさまるのだ、と思うようになってしまいます。
人生とは次々に与えられる難題に答えていくだけの試練のようなものだと思い込み、自分から積極的、創造的に切りひらこうという意志が育たないのです。

人間関係において、自分を苦しめ、傷つけるパターンに陥っている人は、このような過去の心の傷にしばられている可能性があります。
ギャンブルでの損害を取り返そうとして、ますますギャンブルにのめり込み、結局よけいに損害を大きくしてしまうのと同じです。
親に満たしてもらえなかったものを他人に求め、同じ失敗を繰り返し、同じように傷つけられているのです。
自分が無意識のうちにこだわっているパターンを認識し、そこから脱却しなければなりません。

子供のころの世界はせまかったから、逃げ場がないのも仕方がありませんでした。
しかし大人になった今は、広い世界に住んでいるのです。同じところにとどまらず、住み心地のよい場所を自分で探すこともできるのです。
心の痛手を無理に克服しようとする必要はありません。ただ、「私はこういう人生を生きてきた」ということをありのままに認め、過ぎたことは仕方のないものとして、自分を責めるのをやめるだけでよいのです。

自分を責めるのをやめたからといって、人生からつらいことや悲しいことが消え去るわけではありません。
しかし、自分を責めるのをやめた分だけは確実に成長したと言うことができます。
心にも身体と同じように、自然治癒力があります。
心が痛むのは、少しでも早く治そうとする自然治癒力が働いているからです。
自分で傷つけるのをやめれば、特別な努力をしなくても、心は自然に癒やされるものなのです。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.220-229
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