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たかたまさひろ(著)

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たかたまさひろ(著)

No.217『心を操作されないために』

他人を傷つけたり、悲しませたりしてしまったとき、私たちは「申し訳ない」という罪悪感をもちます。
健全な罪悪感というものは、人間にとって必要なものです。もし、人の心から罪悪感がなくなれば、誰もが自分の利益のみを求め、争いの絶えない殺伐とした世の中になってしまうでしょう。

ただ、卑屈な罪悪感をもってしまうのはよくありません。
どうせ自分は何をやってもダメな人間だ、何の役にも立たない人間だ、どうせ自分はまわりに迷惑ばかりかけている……。そのような不必要な罪悪感は、自分のためにもまわりのためにもなりません。
本当に自分が悪いことをしたと思ったときは、罪悪感をもつべきですが、自分の責任ではないことにまで罪の意識を感じる必要はないのです。
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他人を心理操作するのにもっとも手っ取り早い手段は、罪悪感を植え付けることです。
自分を責めてばかりいる人は、知らず知らずのうちに、他人からそのように心を操作されてしまったのでしょう。
親が、試験で悪い点を取った子供を叱るとき、「勉強しておけば、きっと将来役に立つんだよ」と言うよりは、「どうしてお父さんやお母さんを悲しませるようなことをするんだ」と言うほうが、強烈なショックを与えることができます。

「他人に罪悪感を与えて、心を操作しようとする」手段は、特に悪意はなくとも、人は無意識のうちに使ってしまっているものです。
私たちは、無用な罪悪感によって他人に心を支配されないように気をつけなければなりません。
「他人を信じるな、何でも疑ってかかれ」というのではありません。つねに自分の意志をはっきりさせておきさえすればよいのです。

注意しなければならないのは、他人に操作されることばかりではありません。
「私はいつも他人に傷つけられてばかりいる」という人も、自分でも気づかぬうちに、他人の心を操作しようとしているものです。
恋人を責めるとき、「私はこれだけのことをしてあげたのに」と、相手の罪悪感に訴えようとしていないでしょうか。
「どうせ私なんか、何の価値もない」と卑下しながら、他人が「いえ、そんなことありませんよ」と言ってくれるのを期待していないでしょうか。
「私は不幸な人間だ」と暗い顔をしながら、まわりに「こんなかわいそうな私をいたわってください」と暗に要求していないでしょうか。

心理を操作したりされたりすることでは、けっして他人とよい関係を築くことはできません。
他人に何を言われようとも、言われたことそのものが問題なのではなく、「言われたことについて、自分がどう思うか」ということが重要なのです。
また、他人に心を操作されたくないなら、自分も「言いたいことははっきり言う。しかし強要はしない」という態度で臨まなければなりません。
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「他人に言われたことが許せない。謝ってもらわなければ気がすまない」というのは、自分の心の支配権を相手に譲り渡すことにほかなりません。
他人にバカにされたという事実を認めようとしないために、いつまでもイライラを抱え、かえって心は支配されてしまっているのです。
まず、「相手がそう言った。ただそれだけのこと」と事実を認め、自分の心はそれにとらわれないようにすればよいのです。
嫌な相手を見返すもっとも効果的な方法は、強く言い返すことではなく、相手の口を封じることでもなく、「まったく気にしない」ことです。

わざと他人を傷つけたり、他人が嫌がることをしたりするのは、悪いことです。
しかし、「他人をよろこばせないこと」「他人の役に立たないこと」は、別に悪いことではありません。
他人から「どうして私の望むことをしてくれないのだ」と文句を言われても、気にすることはないのです。その人は明らかに、自分の心を操作しようとしているのです。
もちろん、他人をよろこばせることは、よいことには違いありません。できるなら大いにやったほうがよいでしょう。
しかし、それをするかどうかを決める権利は自分にあるのであって、他人にとやかく言われることではないのです。

人生に何が起こるかは自分で完全に決めることはできませんが、それにどう向き合うかは確実に自分で決めることができます。
他人を変えることはできませんが、他人とどう付き合うかは自分で決めることができます。
「他人に何と言われたか」によって人生が決まるのではありません。自分の意志で判断し、行動することによって決まるのです。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.210-219
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