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たかたまさひろ(著)

No.192『批判する人、される人』

自分に自信がもてない人が、他人との付き合いに苦痛を感じる理由は、「もし批判されたとき、どう言い訳をすればよいか」と考えることに疲れ切ってしまっているからです。
そして、実際に批判されてしまったときの対処は、大きくふた通りに分かれます。
積極的に「攻撃は最大の防御とばかりにやり返す」か、消極的に「傷ついている自分を見せつけ、相手に罪悪感を抱かせようとする」かのどちらかです。
どちらにしても、他人を変えることに全精力を注ぎ込んでしまうのです。
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しかし、他人が変わるのを待ち続けるには、人間に与えられた一生の時間は、あまりにも短すぎます。
世の中に、批判されない人はいません。
何かを言ったといって批判され、言わなかったといって批判されます。失敗してはバカにされ、成功しては妬まれます。
自分のまわりの人間すべての批判を抑えることなど、とても不可能なことです。

他人を傷つけて喜んでいる人は、きっと自身もひどい罪悪感や劣等感にさいなまれています。どんなに偉そうにしている人も、悩み、迷い、自分の弱さに苦しんでいるのです。
他人を傷つけていることすら自覚せず、平然としている人もいますが、そういう鈍感な人間に育ったということが、すでに大きな不幸です。ろくな教育もしつけも受けず、誰からも愛されず、いい加減な育てられ方をしたのでしょう。

貧しい家に生まれたことや身体に障害をもって生まれたことがその人自身の罪ではないのと同じように、いい加減な育てられ方をしたということも、単なる不運であって、その人自身の罪によるものではありません。
どんなに立派で人徳のある人も、自分で境遇を選んで生まれてきたわけではないのです。
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世の中に不幸な人がいることは、仕方のないことです。不幸な人たちが仕掛けてくるゲームに参加してはいけません。
バカにされる側よりも、バカにする側のほうがはるかに不幸なのです。
敵意に敵意をもって対抗すれば、さらに大きな敵意が返ってきます。
他人から敵意を向けられたとき、もっとも有効な対抗手段は、憐れみです。相手がそのような不幸な人間に生まれついた不運を憐れみ、少しでも救われるように祈ってあげてください。

「憐れみ」といっても、高いところから見くだすような同情ではなく、「自分もまかり間違えば、そのような人間になっていたかもしれない」という、人間の弱さへの共感です。
恥じるべきは、「自分がバカにされたこと」ではなく、「他人をバカにするような不幸な人に憐れみの心がもてないこと」です。

他人にバカにされて腹が立つのは、「自分は偉く、立派な人間なのだ」と見せようとしているからです。
他人をバカにすることも愚かですが、自分を偉く見せようとすることも同じくらいに愚かなことです。
他人をバカにすることの虚しさが判っていれば、そんなことにいちいち腹を立てることの無意味さも判るはずです。

ただし、他人の批判にまったく耳を貸さなければよいというのではありません。
他人から批判されたときは、まず冷静に、謙虚に、その批判が正しいものであるかどうかということを判断する必要があります。
正当な批判であれば、むしろ相手に感謝しなければならないのです。

自分が間違っていたと思うなら、誠意をもって反省した態度を見せれば、かえって自分の評価は上がるかもしれません。
「何の欠点もない完璧な人」よりも、「ときに間違いはおかすが、過ちは素直に反省する人」のほうが、人間味があって親しみがもたれるものです。

批判に怯えている人は、正当な批判さえもはねつけようとするか、不当な攻撃さえも受け入れて自分を責めてしまうか、のどちらかにかたよってしまいがちです。
他人から批判されることへの怖れをなくす方法は、自分にとって何が正しく、何が間違っているかという考えをはっきりさせ、なおかつ他人の意見も聞き入れる柔軟さをもちあわせることでしょう。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.190-199
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