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No.167『ゼロでもともと』

恋人に振られることは、誰にとっても悲しいことです。
あんなに仲がよかったのに。なぜ急に別れたいなどと言い出すのか。ひどい裏切りだ。こんな苦しみを味わうくらいなら、はじめから付き合うんじゃなかった。
つい、愛情が転じて恨みとなってしまうこともあります。

職を失えば、これからどうやって生きていけばいいのだろうと不安になります。
仕事一筋で打ち込んできた人ほど、失職してしまったときは、人生にぽっかりと穴があいてしまったような虚しさに襲われます。

大切なものを失ったとき、それに対する依存度が高ければ高いほど、悲しみや不安も大きくなります。
しかしここで、バランスを欠いていたいびつな人生設計こそを見直さなければなりません。
たったひとつのことに過度に依存し、人生を一面的にしかとらえていなかったことが問題なのです。

誤解のないように付け加えますが、けっして何かに真剣に取り組むことを否定しているのではありません。
恋人と付き合うからには、自分の人生をかけるつもりで真剣に付き合うべきですし、真剣であればあるほど、振られれば悲しいのも当然のことです。
しかし、振られたからといって、これまで与えてもらった喜びへの感謝も忘れ、逆に憎しみに変わってしまうのであれば、自分の恋愛に対する姿勢が間違っていたと言わざるをえません。
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たとえ何か大切なものを失ったとしても、それは不幸ではありません。そもそも、それほど大切なものを与えられていたこと自体が大きな幸運なのです。
たとえ恋人に振られたとしても、それまで自分が真剣に恋愛をしてきたのであれば、その思い出の分だけ得をしたのです。
たとえ職を失ったとしても、職のある間に報酬や生きがいをえられたことは、得をしたのであって、損をしたのではありません。

現在、幸福な状態ではなくなったとしても、過去の幸福までが消え去るわけではありません。
これまでに積み上げてきた幸福は、まるまる得をしている分なのです。

恋人に振られたとき、絶望したり、腹を立てたりするのであれば、恵まれた状態をゼロの基準として考えていたということです。それを当然と考え、感謝の気持ちを忘れていたということなのです。
「もし嫌われたとき、どう対応するか」をつねに考えておくことも、恋人に対する責任のひとつです。

恋人がいなくなったとしても、それでもともと、ゼロなのです。ゼロを基準として考え、この一瞬一瞬、プラスの喜びを与えてくれている相手に感謝の気持ちを持ち続けなければなりません。
会社での地位を自分の力で手に入れたのだとしても、健康な体で仕事に打ち込める状態にあったということ、自分を評価してくれる人がいたということは、やはりたまたま与えられた幸運にすぎず、感謝しなければならないのです。

「ゼロでもともと」という考え方は、けっして「失ったときに傷つかないように、はじめから期待しない」という消極的なものではありません。
失えば悲しいのは当然ですが、だからこそ、幸運が与えられている現在、そのありがたみをかみしめなければなりません。
自分の本当の姿、生きる姿勢は、恵まれているときではなく、いっさいをはぎ取られて丸裸になったときにこそ問われるものです。いつでもその準備はしておくべきなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.160-169
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