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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

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たかたまさひろ(著)

No.080『他人から期待などされてはいない』

あこがれていた人との恋が実って、付き合うことになり、うれしいはずなのに、かえって不安にさいなまれてしまう、という人がいます。
「この人を恋人にできたら、どんなに幸せだろう」と夢見ていたのに、実際に付き合うことになったら、なぜか喜びは消え失せ、逃げ出したい気持ちになってしまうのです。
切実に他人とのつながりを求めていながら、一方では、それが怖いのです。

そういう人は、おそらく、「期待に応えることを強要する親」に育てられたのでしょう。子供のころから「いい子」と言われ続けてきたのではないでしょうか。
他人の気に入る行動をとってこそ、自分は愛される価値があるのだ、という間違った考えを無意識のうちに刷り込まれてしまったのです。
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だから、新しい恋人や友人ができたとき、まず「相手の気に入る人間にならなければいけない」という強迫観念を抱いてしまいます。
自分の意欲や喜びは二の次で、他人のために犠牲になったり、一所懸命に尽くしたりして、「他人に気に入ってもらえること」の中でしか自分の価値を認められないのです。
「自分は相手に期待されている」と勝手に思い込み、「その期待に答えられなかったら嫌われてしまう」と不安を感じるのです。

そういう人にとって、人付き合いは「綱渡り」なのです。
渡り終えても、達成感は感じられず、「落ちなくてよかった」という消極的な安心を得られるだけです。
安心したのもつかの間、次から次へと新しい綱を渡らされ、「落ちないようにすること」に精一杯で、まったく喜びは感じられないのです。

悪い意味に誤解しないでいただきたいのですが、そういう不安に苦しんでいる人に対して、私はこう断言します。
「誰もあなたに期待なんかしていません」
仮に期待する人がいたとしても、そんな人と付き合う価値はありません。
「自分の気に入る人間になれ」と強要する人と付き合っても、都合よく利用されるばかりで、何も得るものはありません。

仏教で、「和顔愛語」という言葉があります。
和やかな顔で、情を込めて語りかける。これはお布施のひとつなのだそうです。お布施とは、見返りを求めない善意のことです。
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人付き合いにおいては、この「和顔愛語」さえ心がけておけばよいでしょう。
他人に対して、にこやかに、心を込めて話す。これだけで充分、「他人を喜ばせる」ことになり、ひいては「他人から愛される」ことになるのです。
「たったそれだけのことでよいのか」と思われるかもしれませんが、つねにこれを心がけるのは、相当に難しく、強い精神力が要求されることです。

せっかくにこやかに話しかけても、相手は不機嫌に応答してくるかもしれません。しかし、それでもよいのです。見返りを求めては、お布施になりません。
たまたま相手は虫の居所が悪かったのかもしれませんし、体の具合が悪かったのかもしれません。そんなことはいちいち気にかける必要はありません。
自らの誇りにかけて「和顔愛語」を実践したなら、相手の反応がどうだろうと、たいして気にはならないはずです。

「幻滅されるのが怖いから」という理由で他人に媚びを売っても、かえって不満が募るだけです。
他人を喜ばせる行動をとるには、自分が「喜んで」そうしなければなりません。
まず自分が心からの幸せを感じられなければ、他人を幸せにすることはできません。
自分を押し殺し、無理をして他人を喜ばせようとするのは、逆効果に終わるだけです。
自分の内面からあふれ出る幸せは、無理をしなくても、自然に他人にも行きわたるものなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.080-089
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