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No.041『罪悪感を認識しよう』

毎日のように伝えられる凶悪な犯罪のニュースを見るたびに、一般の人たちが感じる疑問は、「犯人は、そんな残酷なことをして、なぜ罪悪感に苦しむことがないのだろうか」ということでしょう。
犯罪を犯すほど心のゆがんでしまった人間は、他人には想像もできないような辛く苦しい、不幸な経験をしてきたに違いありません。

犯罪者のほとんどは、実は、罪を犯しておきながら、自分は加害者ではなく、むしろ被害者だと思っています。
「もともと自分は心の清らかな人間であったのに、こんな純粋な自分を虐げ、疎外し、苦しめてきた他人が悪い」というわけです。
自分だけが損をしている、という被害者意識から、損得のバランスを取り戻すために他人に害を与えるのです。

ある女性に執拗につきまとい、ついには殺害してしまった男は、殺害前、交際の申し込みを断り続けたその女性に対し、「僕をストーカーにしないでください」と言ったそうです。
このひと言に、ストーカーとなるような人間の本性が凝縮されているように思います。

彼は、自分を純粋な人間だと思い込んでいたのでしょう。「完璧に純粋な人間でなければ、他人に認めてもらえない」という間違った観念を子供のうちに刷り込まれたのかもしれません。
——自分のような純粋な人間が嫌われるはずがない。しかし、現実に嫌われている。また、純粋な人間が人を憎んではいけない。しかし、自分は人を憎んでいる。
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つじつまの合わない現実を受け入れることができず、自分の純粋さを守るためには、憎しみの対象を消し去ってしまうしかない、という誤った結論にたどり着いてしまったのです。
当人にとっては、他人に嫌われるということは死ぬほど怖いことですから、「精神的な正当防衛」だとでも思っていたのでしょう。

人と人とのトラブルのほとんどは、「被害者意識のぶつかり合い」だといえます。
「自分の方が、より多くの被害を被っているのだ」ということを認めさせるための不毛な闘いです。
世の中は、被害者だらけです。いったい誰が加害者なのでしょうか。
皆、「自分はかわいそうな被害者である」と思い込むことによって、罪悪感から逃れようとしているのです。

罪悪感を感じることに怖れを抱く必要などありません。むしろ、罪悪感こそが、実際の罪悪を抑える働きをするのです。
「罪悪感を感じている人」と「悪い人」とは異なります。この世に、心に一点の曇りもない純粋な人間など、存在しません。
「自分は完璧に心の清らかな人間なのだ」と思い込み、罪の意識をまったく感じていない人が、その思い込みを否定されたときに、心が暴走し、ブレーキが効かなくなってしまうのです。

この世に、一度も他人を傷つけずに生きてきた人が、ひとりでもいるでしょうか。
他人とかかわるということは、互いにとって喜びであると同時に、ときには迷惑でもあり、負担でもあります。
皆、意図せずとも他人の権利を侵害しながら生きています。大げさに言えば、生きていること自体が罪だともいえます。
それでも人間は、許しを乞いながら、他人とかかわり合い、生きていくしかないのです。

「絶対に許せない人がいる」と思っている人も、実は、自分こそ他人から許してもらわなければならない存在であることに気づかねばなりません。
自分の罪悪感をはっきりと自覚している人こそが、健全な心をもっている人だといえるのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.040-049
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