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リラックスブック

たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.040『すべての人間を尊重しよう』

私は、よく図書館に本を借りにいきますが、いつも残念に思うことは、カウンターで本を借りる手続きをする人のほとんどが無言であるということです。
近所の図書館の職員さんたちは、「お待たせしました、次の方どうぞ」「はい、カードをお返しします」などと、民間サービスのように丁寧に応対してくれます。
それに対して、借りる人の8割以上は、まるで機械を相手にするかのように、黙ってカードと本を差し出し、また黙って受け取って去っていくのです。
ただで本を貸してもらっているのですから(間接的に税金を払っているとはいえ)、「お願いします」の一言ぐらい言えばお互いに気持ちがいいのに、と思います。

ひと頃、電車の中で化粧をする女性についての議論がありましたが、最近は議論をするのもばかばかしくなったのか、あまり話題にのぼらなくなりました。
化粧というものは、人前に出るためにするものです。
電車の中で化粧をする人にとって、「自分と関係のない赤の他人は、人間ではない」とみなしているということになります。電柱か石ころと同じだとでも思っているのでしょう。
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公共の場で、他人の存在を無視し、あたかも自分の部屋にいるかのように振舞っていることが、周囲の人たちにとっては不愉快なのです。
電車の中で化粧をすることが、「他人に迷惑をかけているわけではない」というのなら、電車の中で裸になることだって許されるということになってしまいます。
目に見える実害を与えなくても、他人に不快感を与えることは、やはり迷惑なのです。
電車の中で携帯電話で大声でくだらない話をする人や、ウォークマンをシャカシャカ鳴らす人たちも、「自分だけの世界」にこもり、関係のない他人のことなど存在しないも同然だと思っているのです。

他人の気持ちを想像できない人に、人を愛することはできません。
私たちは毎日、直接かかわらなくても、多くの人と接しながら生きています。通勤電車で乗り合わせる人や、スーパーの店員さんも、見知らぬ他人ではあっても、電柱や石ころではなく、生きている人間です。
「他人の立場になって考える」ということは、あらゆる場で実践可能なのです。

私が通っている近所のコンビニでよく見かける年配のご婦人は、買い物をした後、店員さんに向かって、「いつもありがとう。お世話さん」と言って帰ります。
お金を払う客は、店員より立場は上なのですから、そんなに気を遣う必要はないのに、そういう時にこそ相手を尊重できる人が、真に心の豊かな人なのでしょう。
私も見習いたいと思うのですが、なかなかそこまで言う勇気がなく、せめて値段を言われたら「はい」と返事し、お釣りをもらう時にも「はい」と返事をすることにしています。
とても気持ちのいいことですから、ぜひ今日から実行してみてください。

お店の店員や、会社の部下など、自分に逆らえない立場の人に対して偉そうにするのは、バカでもできます。そんな人は偉くも何ともありません。
スーパーやコンビニの店員さんだって、自動販売機ではなく、血の通った人間です。むすっと黙って買い物をするのは、失礼ではないでしょうか。
自分が偉そうにできる立場の時にどういう態度をとるかで、その人の人間性が判るのです。

人間関係で過剰なストレスをためる人は、他人の気持ちが想像できない人です。
好きな人の前だけで格好をつけて優しい人間を演じ、関係のない他人には冷たい態度をとる人は、いずれメッキがはがれてぼろが出ることでしょう。
また、恋人や配偶者が、「自分をどう扱ってくれるか」ということよりも、「他人にどう接しているか」ということに気をつけてみれば、その人の本性を知る上で重要な手がかりとなります。
ふだんから、見知らぬ他人との接し方にも気をつけたいものです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.040-049
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